このレビューはネタバレを含みます
映画好きにとっては、二度、三度と観たくなる映画。
1stシーン。何となしに始まるスキー場での家族写真撮影。だけど、カメラマンの声の先にいる家族達に漂う謎の空気の重さ。何なんだろう、という思いからスタート。
圧倒的ロケーションからスタートするこのファーストカットがまず最高。
人間が抱いている、小さな憎しみや嫉妬心がむくむくと大きくなってきたり、こびりついて離れなかったりという様が生き生きと、そしてじっくりと描かれていく。
時折入る恐怖感を煽る音楽とそれに呼応するような、そこはかとなく怖さを感じる映像が素晴らしい。例えば、夜のスキー場に蠢く機械達、電動歯ブラシ、整然と並んだスキーシューズ達、雪山そのもの。
静かに進んでいく会話劇の合間にとても効果的に入ってくる。
滲み出る、主人公二人のダサさがとても人間臭く、白々しささえも心地よい。
エンディングに関しては、考察の可能性を持たせた終わり方。
それでいて、とても味わい深い終わり方をしている。
「タバコ吸うの」「ああ」
という最高にクールな終わり方。
そこには考察の余地が数多あり、重苦しい雰囲気でありながらとても爽快感のあるカットで終わる。
個人的には、森の中でおしっこをしながら涙を流すエバのカットが大好きでした。
もちろん、雪崩のカットも最高。
トマスが駄々こねるシーンも最高、そこに子供達がやってきて抱きついていく様も最高。
随所に挟まってくる子供達の眼差しや表情が印象的。