ミサホ

フレンチアルプスで起きたことのミサホのレビュー・感想・評価

4.2
ずいぶん前から気になっていた作品を鑑賞しました。この監督の作品はこれが初めてになるのだけど、どれも評判が良いので観るのが楽しみです。

トマスは、家族と共にスウェーデン🇸🇪からフランス🇫🇷のスキーリゾートにやって来た。5日間をここで過ごす予定だ。

わたしはスキー⛷は全くしたことないけれど、こうやって見てると楽しそうだよね。でも実際するとなると荷物が多いだろうし、装備がなんとなく面倒くさそう…。

トマスとエバ、そして10歳くらいの娘と小さい息子。理想的で美しい4人家族だ。そんな家族に亀裂が入る出来事が起こったのは2日目。

レストランのテラスで昼食中、4人の背後の山で雪崩が発生。なんと雪崩がこっちに向かってくるではないか!エバは咄嗟に娘と息子を抱き寄せた。ところがそれと同時に夫のトマスが一人背を向け逃げるのを目撃したのだ。

なんとか難は逃れた。
しかし、違う難が訪れたのだ。
家族崩壊の危機…なのか?
あれは、わたしの夫か?
逃げたよね、さっき逃げたよね?
わたしたちを置いて逃げたよね?

観ている間、いろんな感情が湧き上がって来るドラマだ。エバのがっかりした気持ちや苛立つ気持ちも、トマスの気まずい気持ちも自己嫌悪に陥る気持ちも分かるなぁ。

エバは、友達カップルに思いの丈をぶつけるのだけど、それが友達の方にも火の粉が飛んで、そっちはそっちで気まずくなるのも面白かったし、ドキドキもした。

これだけ男女平等を謳う世の中で、しかもそれが他国より進んでいそうな北欧でも、やはり男は家族を守るのが当然だという概念があるのだなぁと思った次第。

わたし自身、彼と付き合うときに「守ってあげるね」と言ったのだけど、女性にそんなこと言われたの初めてって驚かれたよね。どっちが、ではなくてお互いに守り合えるのが理想だよね。

ま…そんな話はさておき。
絶妙な間を持たせる演出も独特で、あとでパンチが効いてくるといった感じだったし、ラストのあれは、うーむ…この皮肉めいた作品の終わり方としてはこれ以上ないものだった。

バス🚍に一人残った女性の行動は、その女性の価値観や物事の捉え方を象徴しているようで、人物描写にも長けていると感じた。

とても面白かった。
ミサホ

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