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フレンチアルプスで起きたことのboxmanのレビュー・感想・評価

4.2
お父さんが尊厳を失う話


バリバリ働いて金銭的にも社会的にも充実してきたお父さんが家族サービスのスキー旅行で起こした致命的なミスが、終わりのない夫婦喧嘩を引き起こす。
妻に詰められ、子どもに責められては、ひどく追い込まれたりするも、持ち前のインテリジェンスでなんとか理性的に論理的に話を誤魔化していたものの、(子どもたちの方はなんかあっさりと許してくれたが)妻の方は執拗に他人を巻き込みながら詰る詰る。周りの人間にも飛び火したり雪山で叫んだりナイトクラブで叫んだりして何とか発散しつつも、お父さんはもう限界になってしまい、泣いちゃった。
最初の家族写真のことから、終局の場面を見ても、結局のところ似たもの同士、こういう夫婦なんだったと思う。爆弾は点火待ちだっただけで。
そりゃそうで、全ての夫婦がお互いの思考の癖を認め合っているわけではない。大体は隠しているものだし。
人間関係を円滑にするコツは格好良く見せることではなく迅速に情けなく振る舞うことであることがわかる。これが映画の中だけの特別な話ではないことも。

ところで四季の夏がかかるのは、なんでなのか。いや、言いたいことはわかる。でも私の言いたいこともわかって欲しい。
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