ななみん

ソウォン 願いのななみんのネタバレレビュー・内容・結末

ソウォン 願い(2013年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

実際にあった事件を基にして作られたというこちらの作品。

まずは作品を見る前に、実際の事件の詳細を調べました。なんて残酷な事件なんだと…固まりました。しかも、酔っ払ってたから?酒を飲んでいたからと、懲役たったの12年?ふざけるな、と口にしてしまいました。

作品を見て、改めて、酷く憤りを感じ、とにかく本人、家族を思うと胸が詰まりました。

ごく普通の家庭に、何も悪いことをしてないのに、ただただいつもの様に生きていた女の子に突然起きた事件。

雨の日、登校中に男に襲われた。
人間がすることとは思えないような…酷いことをされました。
瀕死状態で搬送されたソウォンは、すぐに人工肛門にしなければいけないと言われ、親のサインの元 手術が行われ、全身傷だらけ、入院生活が始まる。家族では補えない程心の傷も深く、カウンセラーの先生が間に入ってくれる。
家族、周りの人みんなで笑顔にさせようと力を合わせる。

「早く犯人を捕まえて欲しい」ソウォンの願い。
両親はもちろん、何がなんでも犯人を捕まえるために必死だった。指紋が一致する人物を発見したものの、本人の証言がないと逮捕状が出せないなどと言われ、両親頭を抱えました。あんなにも辛い事件を思い出させるのかと…。まだ目が覚めてばかりのソウォンに、犯人の顔写真を選ばさせるシーンは本当に胸が苦しかったです。

お腹に第2の赤ちゃんがいる母が泣き崩れるのも、やるせない気持ちでいっぱいで泣く父も、顔も身体も傷だらけで何からも怯えるソウォンも…とても悲しかったです。

人工肛門になってしまったソウォン、不意に便を漏らしてしまい、それを見た父が優しさで必死に拭く。不安がらないように、大丈夫だよ!と言い服を脱がして拭いてあげるも、やめて!!と泣き叫ぶソウォン。
恥ずかしいから…では無くて、乱暴されると思って怖がったソウォン……。
そこから、お父さんはソウォンの前に姿を現せられなくなります…。たとえ父親とはいえ、犯人とおなじ「男」。自分が、あの日のことを思い出させてしまう…と距離を置きます。
それでも娘と話したい、娘を笑顔にさせてあげたいと、、、娘の好きなキャラクターの着ぐるみを被り、毎晩病室に行き、「キャラクター」になりきり、娘の「お友達」となり、励ましに行っていました。

娘を思う気持ち、自分に出来ることをする、すごくすごく泣けました。

なんとか退院して、学校にまた通いだしたソウォン。

それでも心配で、仕事を抜けてまた着ぐるみに着替えて父の身を隠し、ソウォンを笑顔にさせに行く。
でも「パパでしょ、パパなんでしょ」とバレてしまう。いつから分かっていたのかな?と思ったのと同時に、「暑いでしょ?家に帰ろう」と、パパの汗を拭き、ソウォンからパパの手を握ってくれたのが嬉しくて…(T_T)泣きました。

「男の人」を恐れるのは当たり前だけれど、こんなにも愛してくれている想ってくれているパパの事だけは信じてあげて欲しい。と願って見ていたので嬉しかったです。

入院中、「学校に行きたい。でも皆に知られていないか怖い」と不安がっていたソウォンでしたが、学校の皆がソウォンが戻ってくるのを待ち望んでいて、友達の男の子も、戻ってきたソウォンを大切に大切にしてくれていたのが素敵でした。


裁判前の、犯人と父のガラス越しでの面会。

「示談をもちかけに来たんですか?そうして貰えると助かります 働いて返します その方がいいでしょう」
「よく考えてください、私がずっとここに居るとでも?いずれ出所する」

どこまで糞なんだ。と。本当にイカれてると思いました。 実際の話では、「被害者の近くにまた住んでやる」や「出所したら被害者に会う」などと言い放っていたようで、本当に怒りどころじゃないです。今、この瞬間にも、出所して呑気に暮らしているのかと思うと……。

被害者の女の子を想うと辛いです。

命は救われたけれど、一生消えない傷を身体にも心にも負った。たった8歳の女の子。もし自分の子ども、自分の家族がそんな目にあったと思うと、たったの12年で許す人は居ないと思います。居たら狂ってます。

このような酷い事件が世界から少しでも無くなっていきますようにと心から願います。



〜 辛い目にあった人が笑顔でいるのは
周りの人に辛い思いをさせないためだ。 〜
ななみん

ななみん