OASIS

ヴィクとフロ、熊に会うのOASISのレビュー・感想・評価

ヴィクとフロ、熊に会う(2013年製作の映画)
3.0
刑務所から出所したばかりの女性ヴィクトリアと友人のフロランスは、新しい生活を始めるベく森の中の小屋を訪れる。しかし、そこで待っていたのはフロランスが過去に犯した罪との再会だった。

※注 熊は出て来ません。

ヴィクとフロのレズビアンカップルが森から抜け出そうとするとある日熊さんに出会った、という様な話かなと思いつつ観て見るとこれが全く違った。
結局最後までどんな話なのか分からずじまいなのだが、画面から発せられる深緑のパワーが凄まじくて、森林浴をした後の様にマイナスイオンがたっぷりと身体に補給された感覚だった。

ガンダルフみたいな風貌の車椅子に乗ったヴィクの叔父とそのお世話をする青年シャルロ。
気持ち悪いシャルロの父ニコラスや、狩猟の練習をする女スナイパーとその相棒の黒人。
裸のマッチョ黒人と日焼けをする美女や、目付きのいやらしいF1レーサーなどなど。
何処か思わせ振りな態度でヴィクとフロの二人を訝しげな視線で観察する森の住人達。
特別何かをしてくる訳でも無く、かといって親しげにしてくる訳でも無い。
「一体この人達はなんなの?」というムズムズした感覚のまま話は進むが、一向にそれが明かされる気配が無く終始居心地の悪さを感じてしまう展開。

どうやらフロが10年前に起こしたある事件が影響しているらしいのだが、なんとその肝心の出来事についても全く触れられる気配が無いので「そもそもヴィクとフロはなんで此処に来たの?」という状況に陥ってしまう。
「取り返しのつかない事をしてしまった...」というフワっとしか返答しか返って来ないので「いや、だからその原因を教えてくれよ」とモヤモヤしっ放しなのである。
女スナイパーと黒人に滅多打ちにされるくらいだからよっぽど恨みを買うような事なのだろうが...。

エミールを施設へ入所させる件も全然絡んで来ないし、思わせ振りなだけで特に何をするわけでもないその他大勢の人々との接点も希薄で、本当に何をしに来たのか分からない。
二人を見守るスキンヘッドの保護司ギョームにも何か過去がありそうでぼかされたままなので、何もかもがあやふやな状態。
読み取れる情報が少な過ぎて、何を言いたかったのか確実に理解出来ていないと思う。

罪からは簡単に逃れられないという事?
再生は贖罪を抜きにして語れないという事?
それにしても難解だった。
ただ、足元をすくわれる瞬間が訪れるのは森で熊に出会う事くらい突然の事だよ、というのは分かった気がする。
OASIS

OASIS