ダイナ

テロ、ライブのダイナのネタバレレビュー・内容・結末

テロ、ライブ(2013年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

2013年公開のワンシチュエーションサスペンス韓国映画。テロリストから脅迫電話を受けた元アナウンサーのユン・ヨンファ。元のキャリアに返り咲くチャンスと思いテロリストとの対話を生中継することを上層部へ打診、承諾させるも事態は悪化していく様子を映す。

状況の変化が静的にも動的にもダイナミックで、観ている側の予想を絶妙にかわしてくるの場面が多々あったのが面白かったです。「この会話があるなら次はこうなりそう」と安易な予想をしていたら「え?そんなことなっちゃうの?」というまさかの展開があり、常に予想をアップデートしなきゃと映画に勝負を挑むように見入ってしまいました。あるある展開と意外な展開がいい塩梅だったので、常に逆張りされて辟易ということも無かったです。具体的に言うと、橋の状況を中継するシーン。崩壊した橋の端に引っかかった車が静かに落ちる場面。子供が救出され、人がいなくなってから車が落ちると思ったら親を乗せたまま落下、遠巻きのLIVE中継で映されており実際の現場でなくスタジオから見ているという構図なので現場のサウンドは直接聴こえないのにも関わらず、インパクトを強く感じます。また犯人が女・子供だけ解放を同意した瞬間に橋が崩壊するシーン。犯人が起こしたテロは許されるものではないけども動機には同情の余地がありました。そこでの解放の同意だったので、崩壊での犠牲はこれ以上でないのではと思った矢先の無慈悲な展開。ヨンファの動揺がとても伝わってきます。加えての隣のビルが爆破されてテレビ局に寄りかかるというのは予想できるか!?って感じで。犯人にこの場に来いと啖呵を切った所で、大統領と犯人とヨンファがスタジオで対峙するのかと思いましたが(無理目だけどビル崩壊よりは現実的じゃないか)、まさか主人公の社会的な立ち位置だけでなく物理的な状況までひっくり返してくるとは予想外でした。橋の上や崩壊寸前のテレビ局の傾斜が付いた状況が、存在する人達の立場の危うさを暗に示しているようで良かったです。

謝罪が欲しかっただけ。ただそれだけなのに受け入れることさえしてもらえなかった犯人の無念への共感。また自身の未来への絶望がマッチした主人公のクライマックスの選択。私はとても好きです。ただヨンファがスケープゴートにされるのはちょっと強引な感じもありました。

本作のワンシチュエーション感が好みの方は「THE GUILTY/ギルティ」、犯人との駆け引き感が好みの方は「ブレスラウの凶禍」を勧めたいです。
ダイナ

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