Bellissima

テロ、ライブのBellissimaのレビュー・感想・評価

テロ、ライブ(2013年製作の映画)
4.0
『テロ、ライブ』@ヒューマントラストシネマ渋谷

爆弾テロ犯人からの要求の中継をするアナウンサーとのやり取りの攻防が実にスリリングな密室劇。特異なワンシチュエーションを徹底的に活かす(対話のみによるサスペンス構成)巧妙な脚本。思わぬひろいもん。

キャリアと人生の再起をかけるアナウンサー、視聴率最優先のテレビ局、無責任体質の政府、テーマとして浮かび上がるのは私利私欲渦巻く人々の本質に人間の存在や生への執着を問うといった哲学的命題。韓国の時代性や社会体質、国民気質を露呈させ最後にそれを撃つという骨太エンターテイメント

限定された舞台設定を徹底的に活かす脚本、ワンカット内で心情の変容を表現する手法が主に取られジリジリと神経を圧迫させる。それに答えるハ・ジョンウの艶やかな色気と「息を吐く、息を呑む」が伝わる的確な芝居のなんと蠱惑的なことか。役柄が台詞を発するということについて真剣に考え抜かれている。導入部から緊迫感が増していく物語に呑み込まれほぼリアルタイムで進行する構成・編集のスピード感に小気味良く押し切られる快感。

そして終盤の展開に吃驚。ジャーナリズムとしての「社会的義務」「社会的責任」や「中立性」や「正義」などの「あるべき論」を揶揄する 面白い作品でした。
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