垂直落下式サミング

g@me.の垂直落下式サミングのレビュー・感想・評価

g@me.(2003年製作の映画)
3.5
広告代理店勤務のエリート社員が、取引先のお偉いさんの鶴の一声で仕事を降ろされたことに納得がいかず直談判しに行くが、その家の娘から狂言誘拐を持ちかけられる。彼女と結託して家族から身代金を踏んだくる計画を企てるのだが…というおはなし。 
ヒロインは仲間由紀恵。代表作の『トリック』『ごくせん』などでのコミカルなキャラクターとは違って、旬の女優の色気を強く押し出しており、意外にレアな姿が拝見できた。
この前みた『リング0バースデイ』は演技が危うかったけど、ドラマでのブレイク後なので、相手役の藤木直人とのやり取りはお手の物って感じ。いい声だな。
でも、よく通る声が特徴的だとかその程度のことじゃなくて、明らかに演技全体の総合力が向上しているから、どこが違うのかじっくり舐め回すように観察してみた。
気付いたのは、台詞を喋りながら身体を細やかに動かしていること。肩をすぼめる仕草で可愛らしく見せたり、上目使いで顎をくいっとやって強気に見せたり、ちょっと猫背でひょこひょこ歩いて図々しく見せたり…、これだ!仲間由紀恵は動きの女優だった。こうやって自己演出してたんだ。なるほどー、いい発見。
逆に言えば、これがなかったから生前の貞子は下手にみえたのかな。あー、確かに棒立ちだったかも。
冒頭の夜景。きれい。やっぱこの年代の東京が一番好きだ。スカイツリーなんていらなんだ。ごちゃごちゃさせずに、東京タワーだけライトアップしてりゃあいいんだよ。
いきなり今際の際の主人公の独白っぽい語りから始まるのは、映画ならば『サンセット大通り』が有名であるが、この原作ではどうなっているのだろうか?最後に読んだのは『流星の絆』だったか、東野圭吾また読もうかな。
でも、そのあと唐突に挿入されるZEEBRAのテーマソングに撃沈。ぐわああ。だせえ!スローテンポなビートにオラオラ系のせようとして無理してる感。映像もヤバイんだよな。破滅的な編集センスで畳み掛けてくる!やめてくれえ!
これはStreet dreamsのカップリング曲で入ってたやつで、アルバムには入んなかったんだっけ。うん、それなりって感じの出来。
日本ヒップホップはイキりヤンキー文化だって偏見が、一般に定着してしまった大きな要因のひとつは、00年代にコイツが悪目立ちしたせいっていう…。困った存在である。
東野圭吾は、愛をトリックに結び付けちゃうアガサ・クリスティの一門だからそんな好きではないし、身代金誘拐の手口もそんなに感心するようなものではなかったけど、いろんな気付きがあったので総合的な満足度は低くない。仲間由紀恵きれい。なんやかんやZEEBRAはださい。スカイツリーより東京タワー!