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めぐり逢わせのお弁当のNMのネタバレレビュー・内容・結末

めぐり逢わせのお弁当(2013年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

勝手にほっこりストーリーかと思っていたらそれもあるが逆に現実も見せられる渋い作品。主人公2人の選択の対比が面白い。
ストーリーが良い。前半はシンプルな展開だが、少しずつ話が重くなっていき、かけがえのないものを得たり、或いは失ったり、複雑な結末。
インドの日常が知れて良い。生活環境は違えどどこでも似たような悩みはあるようだ。
個人的には男性主人公サージャンの後輩への態度が自然に変わっていく様子が好みだった。


主婦イラは毎朝忙しいなか子供を送り出し続けて夫の弁当を作っている。
弁当を届けるのは専門の配達人。

一方、来月退職予定の男サージャン。35年一度のミスもなく務めている。
職場では同僚と談笑する様子もない。いつも一人。
彼の妻は亡くなって独り身なので弁当サービスを頼んでいた。

妻が弁当の話をすると噛み合わなかったので、弁当は違う人へ届いたと気づいた。
妻はその間違って弁当を食べていると思われる男に手紙を書く。
はじめは、全部食べてくれてありがとうと。そして段々夫が無関心である悩みを書くように。

サージャンも届け間違いに気づき、少しずつ返事を書くように。
料理のアドバイス、夫婦仲のアドバイス。
誰とも交流のなかったサージャンはその主婦が気にかけるようになってきた。
サージャンの注文している弁当はイラの夫に届いているようだが彼は無関心ゆえ何も気づいていない。

主婦イラの父は寝たきりで母はその介護があり、お金が要る。他に頼れる兄弟はいない。
そんなとき夫の服から女の匂いがするのに気づいた。

サージャンは、引き継ぎの後輩に慕われ、少し環境が良くなった。
いつも一人だった昼食が、毎日弁当を彼と半分こするように。
一緒に退勤したり、絵を買ってみたり、一人になった後も普段乗らない車に乗ったり、音楽を聴いたり。

イラの方から明日逢おうと書いた。
だがそのあと後輩がひどいミスを続けていたことが発覚。クビになるところをかばってやった。

お詫びも兼ねて後輩は食事に招いた。
彼と恋人がついに結婚するので後見人としてイラと一緒に式に来てほしいと頼まれた。
承諾するサージャン。
サージャンは退職予定をやめ、仕事を続ける決断をした。

イラと会う日。
朝身支度したが、鏡を見ると自信がなくなった。
さらに出勤中に席を譲られてしまい一気に不安が押し寄せた。
イラはカフェで待っていたが、サージャンは現れなかった。

次の日、変わらず弁当が届いた。
だが中身は空っぽ。

サージャンがお詫びの手紙を書く。
昨日は僕もカフェにいた。君は若くて美しく、声がかけられなかった。
夢を見せてくれてありがとうと。

イラは弁当配達人に聞き、サージャンの職場を訪ねてみると彼は退職していた。
だが移住しようと電車に乗ったものの、結局すぐもとの家に戻ってきた。
元に戻ったようで彼の人生は確実に何かが変わったようだ。

イラの父が亡くなった。
サージャンとももう連絡は取れない。
イラは装飾品を全て売り、娘の帰宅前に一人ブータンへ旅立った。
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