現代演劇の演出家の氏による、演劇の演技授業。その題目は「綱渡り」から始まる。セットも何もないカーペットの上で、生徒たち（若いのから年寄りのベテランまで、国籍も多種多様）が綱渡りをする演技をする。氏は詳しくどうしろとは言わない。具体的なことは、足で綱を感じろ、ぐらいか。ただ何度も「リアリティを見つけろ」ということを繰り返し言う。要約すると人間の魂の全身からそれが現れ重なる時がある、それには静かな準備と、テンポが必要だと。それを見極めろ、という感じ。他にも幾つかの稽古もあった。濃密な８７分に目が離せず、死と生との真剣さと緊張感に、感動すら覚える授業でした。
