かたゆき

ブラック・スキャンダルのかたゆきのレビュー・感想・評価

ブラック・スキャンダル(2015年製作の映画)
3.5
1970年代から80年代にかけて、南ボストンを中心に、恐喝・麻薬密売・売春・殺人とありとあらゆる犯罪行為にかかわり、裏社会を牛耳ってきたマフィア、ジェームズ・“ホワイティ”・バルジャー。
犯罪組織のみならず政界やマスコミ、果てはFBIにまで幅広い人脈を有する彼は、その生まれついての無法者の血と類まれなカリスマ性でギャングたちを支配してきた。
そんな彼の鉄の掟。
それは、「密告者は誰であろうと絶対に許さない」――。
警察にひとたび口を割った者には残さず血の制裁が待っているのだ。
彼を擁護し助けてきたのは、いまや上院議員となった兄とFBI捜査官として働く幼馴染みのコノリー。
だが、勢力が拡大するにつれ、鉄の結束を誇った彼らの絆も徐々に綻び始めて……。
実話を元に、長年警察の手から逃げ延びてきた伝説の犯罪者の半生を重厚に描いたクライム・ドラマ。

実在したカリスマ犯罪者役をジョニー・デップが好演しているということで今回鑑賞してみたのですが、いやはやこれがなかなか手堅く造り込まれていて僕はけっこう楽しめました。
ジョニー・デップのハゲ頭もなかなか様になっており、普段の静かな態度から豹変し突然狂犬のように感情を暴発させる所なんてかなり怖い。
コノリー家での夕食の席で披露される我が家の秘伝レシピの話やその後、コノリーの妻に対する不気味な言動など、なんとも真に迫っていて凄かった。
これが、チョコレート工場で白塗りおかっぱ姿で踊っていた彼と同一人物だとはとても信じられないですね(笑)。

ただ、とても手堅く創られている反面、実話を元にしたから仕方ないのかも知れませんが、新味が一切ないのが本作の弱点。
マーティン・スコセッシが過去に何度も手がけてきた実話を元にした作品群と印象がとてもよく似ているのです。
もう少し、この監督ならではといった独自の味が欲しかったですかね。
とはいえ全編を覆う重厚な雰囲気は見応え充分。
この手の作品が好きな人はもちろん、単にジョニー・デップが好きというだけの人も観て損はないでしょう。
かたゆき

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