ランボーでありたい

トランストリップのランボーでありたいのネタバレレビュー・内容・結末

トランストリップ(2013年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

50音映画鑑賞マラソン 第22回 『と』
WOWOW録画で初見
チリ/アメリカ合作の心理スリラー。出演はジュノー・テンプル、マイケル・セラ、エミリー・ブラウニングと同学年の個性派が勢揃い。ジュノー・テンプルはシッチェス映画祭で主演女優賞を受賞

見知らぬ地、よく知らない者、言葉もよくわからない。場の力関係も向こうが上。楽しい旅行になるはずだったのに・・。圧倒的アウェーの中で心が疲弊し精神が徐々に崩れていく。

<あらすじ省略>

いきなり余談で申し訳ないですが、しばらく前に「サイコブレイク」というホラーファンの期待値を上げに上げたうえの超絶クソゲーがありまして・・。
”極度の緊張・恐怖から精神がぶっ壊れる”的な触れ込みのゲームなんですがなんせ出来がいまいち。こんなクソゲーでぶっ壊れるかバーカな仕上がりだったんです。一方、この映画「トランストリップ」こそ、そのキャッチコピーが似合う本当の”サイコブレイク”だと感じました。これはおもしろかったです。
自分は臆病な性格だと自覚していますが、もしこの映画でのジュノー・テンプルと環境に置かれたら・・。と考えると冷や汗がでました。高校生・大学生あたりの対人関係に臆病な若者(キョロ充としておきます)が見たらおしっこ漏らすぐらい不安になると思います。

見ていて不安になったり不快な気にさせる映画に極まれに出くわします。(もちろん直接的に不快なものが映るとかも含め)、狙ってそれをだそうと思うとあざとさが粗目立ちしたりうまくいかないことが多い気がするんですが、この「トランストリップ」は狙ってそれがよくできているんじゃないでしょうか。(病的・悪夢的誇大妄想を疑似体験させる)
映像でも音響でもこっちの神経を逆撫でしてくるような場面のつるべ打ち。ジュノー・テンプルを『この女ムカつくな・・』と一瞬でも思ったなら製作者の手のひらでクールクルって事なんだろうなぁ。僕自身もまんまと作品の術中に嵌った口です。シーンで言うと特にリビングで本を読むシーンがお気に入り。背後に映る女性がJホラーの「女優霊」のフィルムに映っていた霊のような”歪んだ笑った顔”に見えるという主人公の”見られている不安”を表す心理描写としてかなり秀逸だと感じました。

ジュノー・テンプルのぶっ飛び具合も爽快で、マイケル・セラの顔を直の股間に押し付ける所は笑ってしまいました。(本人が演じてるかは不明)彼女は「キラー・スナイパー」でも変な役で出てたけど、フリードキンに揉まれて一皮むけたんでしょう。これからも変人街道を突き進んでいただきたいかぎりです。
マイケル・セラにもしっかりムカついたのでよかったのではないでしょうか。プロデューサー陣にクレジットされていたということは望んでこの役やりたかったってことだよなぁ・・。変な人。
エミリー・ブラウニングは普通です。

少し点数高すぎかもしれませんが一応このくらいで。今まで出会ったことの無いタイプの映画だったので虚をつかれました。演出が実験的過ぎて何を言おうとしているのか??な所も多々あったので見返したいと思います。数年寝かしてから。今すぐは無理。キツイ。とても奇妙な映画でした。