豚肉丸

トランストリップの豚肉丸のレビュー・感想・評価

トランストリップ(2013年製作の映画)
4.5
「従姉妹の友達」に囲まれて気まずい旅をすることになるも、周囲との関係は次第に悪化していき、精神が不安定になっていくお話

セバスチャン・シルヴァ監督作の中で唯一日本上陸している本作。「気まずい関係性のグループが旅をする」という導入は本作の前に制作された同監督の『Crystal Fairy & the Magical Cactus』と同じ(ついでにマイケル・セラが空気の読めないお調子者キャラで出てくるのも同じ)だが、Crystal〜ではドラッグによる神秘体験をすることによって関係性の修復までの過程が描かれていたものの、本作では対称的に催眠術による神秘体験による関係性の悪化が描かれる点が面白い。『Crystal Fairy & the Magical Cactus』の続編的な映画として、先にCrystal〜を見てから本作を鑑賞するのが多分一番良さそう。

肝心の友達が不在のまま「友達の友達」に囲まれた状態でする旅の気まずさがセバスチャン・シルヴァ監督らしいドキュメンタリータッチによって見に染みるように伝わってきてかなり最悪。しかもその「友達の友達」グループの中では、自分からしたら不快に感じる内輪ノリが出来上がっている...
主にその気まずさとマイケル・セラの言動、行動のせいで精神が苛まれていく過程の描写が見事。「スリラー映画」的な話の規模感は無いものの、日常から取り戻しのつかない場所に至るまでの映画としての不安はなかなかのもので、終盤の突然の映画的な飛躍も見事。面白かった!
豚肉丸

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