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アルゲリッチ 私こそ、音楽!のodyssのレビュー・感想・評価

3.0
【音楽家の日常】

BS録画にて。

現代クラシック音楽界で世界最高のピアニストのひとりと目されるマルタ・アルゲリッチ。
本作品は、彼女のいちばん下の娘が作ったドキュメンタリー。
ちなみに、アルゲリッチには三人の娘がいますが、三人とも父親が違う。
一番上は、若い頃に行きずりの中国人ともうけた娘。
二番目は、著名な指揮者シャルル・デュトワとの間にもうけた娘。
三番目のステファニー(本作の監督)は、ピアニストのスティーブン・ビショップ・コヴァセヴィチとの間にもうけた娘。

単純に考えると、派手な男遍歴というような言い方をしたくなりますが、本作品を見るとそれなりの事情があったのだと分かります。もっとも、若い頃のアルゲリッチは美人としても有名だったので、「そのつもりになれば」男に不自由はしなかっただろうなとは思いますが。

実際、三人も娘の父親以外にも、ピアニストのミシェル・ベロフと一時期関係があったことは本作品でも触れられていますし、巷の噂では他にもイケメンでも有名な年下の某ピアニストが彼女に片思いして、そのために長期間演奏活動が出来なくなってしまったとか。

邦題がよくない。
たしかに本作品にはアルゲリッチがピアノを弾くシーンもたくさん出てきますが、むしろテーマになっているのは彼女の日常や家族関係。
著名な芸術家も、ふつうの人間であり、家族のしがらみの中で生きているということが分かる作品です。
日本も出て来る。

ちなみに私は、だいぶ前ですが一度だけ彼女の生演奏に接したことがあります。シューマンのピアノ協奏曲でした。トリッキーな演奏ではなく、ごく当たり前の演奏だったことに意外の感を覚えたことを記憶しています。
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