非常に素晴らしい映画だった。
定年間際の年配夫婦の週末旅行。幾ら歳を重ねても消える事の無い葛藤や悩み。もう関係の改善など出来ないと思うほどのやり取りの後に訪れるこれ以上ない愛おしさと抱擁。そんな事を何度も飽きることなく繰り返して人生は進んでゆく。
何を成功しようとも何を掴もうとも、どうやって虚栄や猜疑に蝕まれながら、虚無を抱えながら虚無と付き合いながら生きるのか。過去の自分と現在の自分の乖離。
長年連れ添った相手の思いも不確かで、寂しさが募り相手に乞うしか出来なくても、答えの出ない割り切れない歯切れの悪いやり取りをやり続けて共に生きる。
そんな姿を美しいパリの街並みと軽快なお互いの憎まれ口の中で見せてくれる。
旅先のあのフラッと入ったカフェや裏路地のレストランでの心が軽い感じのやりとりを何気なく綺麗に写してくれてたりするのも最高。
どうしたって、旅先の数日間を追う様な映画が昔から好きな様で、いつも自分もあんな風に気軽に歩き回る様な旅をいつかしたいと思ってしまう(笑)。
映像も人の映し方含め丁寧に撮られてるのもgood。
この映画を観た後、心が軽くなって、そして、何かどんよりとした重い気持ちが残りました(笑)。
観れてよかった。
