チッコーネ

SHIFT 恋よりも強いミカタのチッコーネのレビュー・感想・評価

SHIFT 恋よりも強いミカタ(2013年製作の映画)
3.2
主人公の赤く染めた髪が印象的で、映画全体を統一する強いイメージとして機能している。
特にコールセンターの青い壁との対比は鮮やか、また弾き語り場面の照明にもよく映えていた(曲のメロディも美しく、歌詞はJ-POPより1,000倍大人)。

日本で見聞きするフィリピン人のイメージは、なんだかあまり芳しくないだけに、現地で暮らす登場人物たちの活気あるライフスタイルを確認可能なのが、非常にうれしい。

内容的にはゲイ映画というより、ヒロインに寄り添った女性映画。
「まさかゲイがなびくのでは」と、色んな意味でやきもきさせる演出はもちろん計算の上であろうが、そもそも現実的な女性にとって「ゲイに恋をする」という選択肢は、まずあり得ない(蛇足だが、現実的なゲイにとっても「ノンケ男に恋する」という選択肢は、まずあり得ない)。
「うっかり差した魔」や「隙」の中にこそヒロインの抱える問題が、横たわっているのだ。
唐突な幕切れは、彼女のほろ苦くも新たな出発を、かなりクールに示唆していた。