ディアッカ

劇場版 PSYCHO-PASS サイコパスのディアッカのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

テレビシリーズ一期では世界の秩序たるシビュラシステムでは裁けない悪。二期ではシビュラシステムを裁ける唯一無二の敵と相対してきたが、今回の劇場版では外の世界から見たシビュラシステムの有益性と毒という点が話の主軸。
今作はシビュラシステムを否定する敵ではなくシビュラシステムに迎合する存在が敵だったせいもあるのかもしれないが、凶悪犯と対決するサスペンス、刑事ドラマよりは、シビュラシステムのもたらすディストピア世界の是非を問う面を強調した政治色の強い作風と、これまでのテレビシリーズとは毛色が異なる。
時系列的には二期の後であることは一係構成員から察することができるが、朱と狡噛の再会がメインであるためか、シビュラシステムに変革を与えた二期の黒幕カムイは単語すら出ず、一係の活躍は程々に、二期の要素はスナイパーライフル型のドミネーターや対戦術兵器のドローン程度に収まっているのは残念。
脚本完成が二期より劇場版が先だった事情もあるのだろうが、二期で亡くなったおばあちゃんに線香の一本も上げない朱にはキャラクターの内面描写に力を入れている作品だけにこういった要素での詰めの甘さはやや気になる。
劇場版ならではの要素は薄いかもしれないが、人間的に成長する朱、仇敵のように人間を超越しつつある狡噛、人間性を得つつあるシビュラシステムと成長(進化)を描く姿勢は一貫しているので、一期の総決算、そして三期への期待を持てる作品になっていると思う。
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