夫の不倫にキレた妻が息子の息子を切り取っちゃうという設定からしてヘヴィな、チンコを巡るキム・ギドクの性の一大叙事詩。痛々しい描写は多いけどあまりに狂った展開と本当に台詞が一つもないところにはむしろ寓話性すら感じる。だからそれおかしくない?という点もおかしくはないです。
台詞が一切ないことで強調される肉体性。母親は病院に入れるべきだし親父の責任の取り方もおかしいけど、失ったり取り戻したりで得るもの得られないものを炙り出す。切り取られてなお性衝動を満たそうとする貪欲さ、性に縛られた男女、家族という関係性、男根崇拝の否定さえ見られます。
痛々しいシーンも多いけど、個人的にはわりと平気でした。とりあえず説明台詞に煩い人が文句付けられない稀有な映画ではあります。