かえで

海街diaryのかえでのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
4.3
きらきら綺麗な鎌倉の景色と、一つ屋根の下で暮らす美人4姉妹。もうこの映像だけでもすでに心が洗われる思いがします。
この映画に漂う空気感がとっても好きで、予告編にもなっている、冒頭の綾瀬はるかが「一緒に暮らさない?」と手を差し伸べるシーンでもうすでにボロボロ涙が出て、その後もなんてことないシーンでじわじわ涙があふれてきて。心の琴線にずっと触れられてるような感覚。とっても良かった。
姉妹のそれぞれの性格や苦悩や、そういうのがすごくリアルで、キャラクターの作り方がとても上手いなあと思う。姉妹っていいな。自分は長女なので、綾瀬はるかの自分が何とかしなきゃいけないと思う責任感のあまり、頑固になって意地張ったり、人に甘えられない・甘え方が分からない、っていう気持ちが痛いほどよく分かる。もちろんあんな風に完璧な姉ではないけれど。誰が見ても、4人のうちきっと誰かに親近感が湧くんじゃないかなと思う。
4姉妹の周りの人たちも(脇役までキャストが本当に豪華)、出てくる全ての人があったかくて優しいのもこの映画の良いところ。特に良いなと思ったのがすずの同級生、風太くん。すずが口にする悩みや不安や孤独や、そういったものをちゃんと受け止めて、向き合って。中学生だもの、完璧なことを言えないのは当たり前で、でも彼なりに一生懸命言葉をかけて、行動して。それでいて深掘りしたり干渉したりはしない。寄り添うってこういうことだなと思う。こんな良い子なかなかいないよね。恋仲になるかならないかは別として、この先もずっとすずの人生に彼の存在があって欲しいと思う。

なんてことない些細な日常をこんなにも美しく瑞々しく描ける是枝監督、さすがです。邦画の良いところが詰まってる。心癒されるとっておきの一作。
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