けっして起伏がある展開ではないのに、なんで、どうしてこんなに心揺さぶるのか…
泣いた、笑った、ニヤついた!
多幸感を得まくりの優しい時間。
「ああ、この時がいつまでも終わらないでほしい」と願いつつスクリーンを見守った。
劇映画というより、本当にある一家の1年を追ったドキュメンタリーのよう。
「こんな美人姉妹がおるか!」
というツッコミを入れたくなる気持ちをかき消す登場人物の圧倒的なリアリティ。
サチの凜とした清々しさ。バラエティで見せる天然さが、芝居となればこうも凛々しくなる。この人を見ると、役者は器なんだなと強く思う。
ヨシノの奔放だけど情に熱いいいオンナっぷり。よっ、エロかわいい!個人的にはMVP。
チカの掴み所はないが確かに感じるあたたかさ。見せ場は少ないけど確かな存在感。
そして浅野すずの輝き。多感な時期の心の揺れ、背負ってきたものに押しつぶされそうになりながらも、姉や周囲の人の助けを借りて成長していく姿は美しい。
全ては彩り豊かに、そして過剰な演出はなく、ごく自然に描かれる。
すずと同級生のシーンなんて、それだけでもう一本映画ができる…というか見たい!と思わせる瑞々しさに溢れていて、なんとはないシーンでうるっときた。
是枝監督は子供を撮る天才、と思っていたのだが認識が違っていた。
人間を撮る天才だ。