マヒロ

海街diaryのマヒロのレビュー・感想・評価

海街diary(2015年製作の映画)
3.5
鎌倉の実家で暮らす三姉妹の幸(綾瀬はるか)、佳乃(長澤まさみ)、千佳(夏帆)は、十数年前に父親が不倫相手と蒸発し母親も再婚相手と出ていったため姉妹三人だけで生活していた。ある日そんな父の訃報が届き、遠く山形で行われる葬儀に向かった先で父と不倫相手の腹違いの妹・すず(広瀬すず)と出会い……というお話。

性格も容姿も全く違う姉妹を演じるのは壮々たる面々で、4人が同じ部屋にいるだけでなんか圧が凄い。しっかり者の長女を演じる綾瀬はるかは、他の映画でバカみたいな役ばかりやらされてるのが不思議なくらいハマり役で、こんな演技が出来る人だったのかというのは失礼ながら発見だった。広瀬すずは最初なんでこんなにたどたどしいんだろうと思ったが、そのあどけない感じが三姉妹と関係を築ききれていないもどかしい状況にうまくマッチしていて結果良かったと思う。

全体的に爽やかで気持ちの良い空気が流れていて、タイトルの『diary』のごとく四姉妹の日常を覗き見しているような平穏さがあるが、その裏のドロッとした家庭のグチャグチャが見え隠れするあたりがちょっと怖いところもある。中盤登場する母親が大竹しのぶだったのを見ただけでこれ絶対こじれるだろ……と思ってしまったが、それほどとんでもないことにはならずにひと安心。
話的にはなんとなく良い感じで収まっているけど、それこそリンチの『ブルーベルベット』みたいな表に出ず見えていないだけでもっとヤバいものが蠢いているんじゃないか……という気がしてならない。
妙に清潔な画面と割と淡白な登場人物同士のやり取りは言い方は悪いがどこか白々しさを感じてしまうところがあり、そういう絶妙な「嘘っぽさ」が何か良からぬ予感がしてしまう要因なのかも。これを狙ってやってるのだとしたらかなりしてやられた感あるが……実際どうなんだろう。

(2019.278)
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