こたつむり

アース・トゥ・エコーのこたつむりのレビュー・感想・評価

アース・トゥ・エコー(2014年製作の映画)
3.9
♪ I wanna see the fantasy
  生まれかわる universe
  心にあつく flash in the dark
  Sixteen あの頃の気持ち

「太陽の下で輝くだけが青春じゃない。
いつだって夜空は青春を肯定しているんだ」

なんて言いたくなるほど甘酸っぱくて、胸の奥がキュっと締め付けられる物語でした。青春最高。

この感覚を野暮な喩えで表現するならば。
『スタンド・バイ・ミー』と『E.T.』を足して2で割って、仕上げに『ウォーリー』を少々振りかけた…そんな作品。正直なところ、オリジナリティは少ないです。

でもね。
青春におけるオリジナリティは、少年少女たちの存在そのもの。物語に拠るものではないのです。だから、本作の方向性は間違っていません。

何よりも彼らがイカすんですよ。
狂言回しのタックは少しイヤな奴ですが、ある意味で少年っぽさ(正直すぎる)の塊だし、マンチはバリバリの科学少年ならではの臆病さが素敵(爆発力もあるから侮れません)。

そして、最高なのがアレックスの笑顔。
目を伏せて、はにかんだような笑顔は、彼の複雑な出自(里子)が人格形成に及ぼした影響。それでも歪んでいない気質に“奇跡”を見た気持ちでした。嗚呼、なんて良い子なんでしょう!

ただ、賛否が分かれるのがヒロイン枠。
とても可愛らしくて(劇中でマネキンに喩えられるほど)素敵な女の子なんですが、13歳の微妙な時期に異性を絡めたほうが良かったのかどうか…あ、彼らに妬いているわけじゃないですよ。ほ、ホントだからね!

まあ、そんなわけで。
家庭の事情で離ればなれになる少年たちの冒険譚。タイトルに"エコー"とあるように、彼らの言葉は虚空に消えるだけではなく、誰かに届いている…そんな想いが詰まった傑作でした。夜空を見上げたくなったときに是非。
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