ピロシキNo10

妻への家路のピロシキNo10のレビュー・感想・評価

妻への家路(2014年製作の映画)
4.0
まるで綴織のような、文革への想い。

シュウシュウの季節を観て、色々と引っかかる所があったが、本作で理解は進んだ。

どちらも、なす術も無い男が登場する。
原作者のどの作品も、人物造形と配置が、ギミック的で興味深い。

パッと見、中共説話的なモノは感じないが、この報われなさは充分に枠内。

文革の犠牲者を描いてはいるが、党の意向に沿わない事、それによるカルマが、全編を覆っている。

その辺りを感じさせないのはさすが。

社会的に存在を許されなかった夫は、妻の傍らにいながらも認識されず、妻は夫を待ち続ける。

観方次第では、1984やTHX1138のようなディストピア物の、出来の良い後日譚とも。

原作者の本意がどこにあるのか判らないのは、相変わらず見事。