文化大革命が終わりを迎えた中国で20年ぶりに再会を果たした夫婦の物語。再会した夫を夫だと認識できない妻と、何とか妻に自分の存在を認識させようとする夫との交流を描く。
ストーリーに特出したところはないのだけれど、描き方がとても良く、胸にぐっと来る。特に印象的だったのは、光の使い方。家屋の窓から優しく漏れる光が登場人物の心理描写となっており、ストーリーを盛り上げていた。またラストシーンが何とも言えない余韻を残す。シンプルで静かな作品だが、登場人物たちの抱えた思いに、切なくなってしまう。
ちなみに邦題の「妻への家路」というのも良いですね。お互いそばにはいるのに、心を通わすことができない…この心理的な距離を端的に言い表していていいなぁと思います。