かえるま

虐殺器官のかえるまのレビュー・感想・評価

虐殺器官(2015年製作の映画)
3.5
<ネタバレなし>大変面白い。本格SFスリラー。原作未読だが、特に問題なく鑑賞できた。
日本の実写映画では予算的に映像化できないであろう設定で、アニメならでは良さが光る。
映像や声の演技、演出など、どれもハリウッド映画に匹敵する。

近未来を舞台に米軍特殊部隊による、虐殺を巻き起こす男の暗殺作戦を描く。
9.11以降で現実と分離したような世界。先進各国は個人識別IDによる管理を徹底することで、テロを防止していた。
しかし発展途上国では、内戦・虐殺が増加。

その影には必ずある1人の男がいた。
何故彼は狙って虐殺を引き起こすことができるのか?またその目的は?

見どころのひとつは、近未来の軍事兵器の数々。
コンタクトレンズ型のAR技術や人工筋肉による兵器、痛覚遮断など。
これらがとてもカッコイイのだ。しかもそれらを利用したが故のグロテスクな現実も同時に描く。

重厚なストーリーも最高。
虐殺を引き起こすメカニズム自体は、正直ちょっと現実味が薄く思えたが、その手法を取るが故に虐殺の効果を限定化できる、などは説得力を感じる。
SF好きなら満足できるのではないだろうか。

欠点は、前述の虐殺を引き起こすメカニズムの描写や主人公がルツィアに惹かれる描写が不足していることか。原作だともう少し丁寧らしいが…。
ショッキングなシーンも多いためか、画面が暗いシーンが連続して見辛いのも気になった。

あと、妙にツルッとした美男美女ばかりが出てくるのがちと違和感。
設定は虐殺の仕掛け人や軍人なのに、揃いも揃って乙女ゲーみたいなイケメン。
女性客欲しいの?内臓とか出るんだけど。
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