えす

ラスト・ラン/殺しの一匹狼のえすのレビュー・感想・評価

4.2
ド渋い傑作。整備からエンジン停止に至るまで、端的に視覚化されるジョージ・C・スコットと車の関係性。部品が故障すれば、当然彼自身も休息を要し、タイミングライトがもたらす光=再起のイメージが途絶えるあの瞬間、死を予感せずにはいられない。カーチェイスの洗練されたカッティングも然る事ながら、爆破シーンの簡潔さにはビビる。あの吹き飛ぶ外装の軌道が忘れ難い。そしてストッキングを干すだけで立ち上がるメロドラマ的様相。風に髪を靡かせるトリッシュ・ヴァン・ディーヴァーとの切り返しは情感に溢れている。ラストで舟を見送る”不動の視線“の美しさをどう言い表せば良いのか。
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