似太郎

ラスト・ラン/殺しの一匹狼の似太郎のレビュー・感想・評価

4.3
【ロンリー・ウルフ】

根っからの娯楽職人であるリチャード・フライシャー監督と主演ジョージ・C・スコットの渋いオーラが光る激走🚘カーアクション。70年代ニューシネマの隠れた秘宝。

脚本は『さすらいのカウボーイ』のアラン・シャープで、どこを切っても70年代!といった無骨で男臭い作風がとても魅力的。ストーリー自体は未整理ながら、全体的にカオティックな雰囲気がサミュエル・フラーのB級映画を想起させる。

音楽はジェリー・ゴールドスミス。撮影はベルイマン作品を数多く担当したスヴェン・ニグヴィストという人選。レフンの『ドライヴ』✖️フィンチャーの『ザ・キラー』を混ぜたような雰囲気が面白い。

男女を乗せた自動車での逃避行を描いた作品としては藤田敏八の『赤い鳥逃げた?』なんかを想起させる。アメリカン・ニューシネマらしい外連味がたっぷりと詰まった娯楽アクション。黒沢清監督オールタイムベストの一本でもある絶品のカルトムービー。
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