イチロヲ

犯す!のイチロヲのレビュー・感想・評価

犯す!(1976年製作の映画)
4.0
強姦魔(蟹江敬三)に処女を奪われた女性(八城夏子)が、周囲のセックス模様に刺激をもたらす存在になってしまう。秘められていた性観念の覚醒を描いている、日活ロマンポルノ。

強姦被害を受けた当人と、関知していない外野の温度差により、「誰にでもヤラせる女」の雰囲気を纏うことになった女性の悲哀。強姦被害という現実を受け止めて、自分の居場所を再確認していく、定石通りのエロティック・ドラマ。

蟹江敬三演じる強姦魔は「嫌がる女」を捩じ伏せることに快感を覚えている人物。嫌がらない女(性に開放的な女)には、いっさい興味を示さない。台詞芝居を極力排除して、のらりくらりと立ち回るところが面白い。

終局に入ると、「嫌がらない女」に変身した主人公が、強姦魔と再度接触。女の妖力を用いたリベンジ戦を展開する。そして、「性の探求と性の暴走は紙一重」へと鮮やかに落とし込んでいく。冒頭からラストまで、流れるようなドラマ展開が芸術的。
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