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戦火の奇跡 ユダヤを救った男のmhのレビュー・感想・評価

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WW2末期のハンガリーで、5000人ものユダヤ人を救ったイタリア人ビジネスマン、ジョルジオペルラスカの活躍を追ったテレビ映画(90分×2話)。
イタリア王国降伏後のイタリア王国政府関係者という立場が面白い。主人公は(ナチスドイツの傀儡である)イタリア共和国には乗っからなかかったので、(ドイツおよび矢十字党政権下ハンガリーからしたら、連合国側は敵であるため、ハンガリーから)脱出しないとならない。
序盤はそのための立ち回りで、主人公はスペイン大使館に潜り込む。
つまり元ファシストだけどいまは違う主人公が、枢軸国仲間のスペインに頼ることになる。(カトリックが宗教、共産主義が敵という点が一致している)
スペイン大使アンヘル・サンス・ブリスはユダヤ人をセファルディ(スペイン系ユダヤ人)として、保護しておりその様子に感銘を受けた様子の主人公。
ソ連侵攻にあわせて、大使は異動しちゃうので冷たい印象を与えるけど、アンヘル・サンス・ブリスも諸国民の中の正義の人に数えられている。
主人公ペルラスカはそのあとを勝手に継いじゃう。押しの強さとはったりだけでスペイン領事としてSS及び矢十字党と渡り合うのが、ドキドキかつ痛快でたまらない。
スウェーデン大使館でもユダヤ人を匿っていたとのことで、そのユダヤ人たちが連行されるくだりがある。これは(これまた諸国民の中の正義の人)ラウル・ワレンバーグが失踪してしまったからと読み解くべきか。(詳しくはググって)
作中の会話「スペインが国として認めていない」のは、国民統一政府(矢十字党政権下ハンガリー)のことか。
保護しているユダヤ人たちとはべつに、ゲットーもあるのがややこしい。
すでにソ連によって解放されたルーマニアのスペイン大使館では、職員が皆殺しにあったとのことだった。フランコ政権下スペインの共産党員弾圧は半端じゃなかったようだから無理はないことだと思った。
終盤に登場する、ドナウ川の虐殺が恐ろしかった。ふたりを縛り、片方を射殺して川に落としていく。同じプロットがあった「ミュージックボックス」でもそうだった。これは精神的にかなりくる。
んで、この映画も主人公もニコラスウィンストンや杉原千畝と同じく、長いことその偉業を知られずにいたとのこと。
歴史はちゃんと残して、伝えていかなきゃいけないね。
「ミュージックボックス」「太陽の雫」「ウォーキングウィズエネミー」「悪童日記」「フェイトレス 〜運命ではなく〜」「ハンガリアン」ハンガリーを舞台にした戦争ものって一風変わったものが多いんだけど、どの映画からもハンガリーという国がもつ雰囲気がにじみ出てるんだよなぁ。
面白かった!
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