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リングの王者 栄光の世界のmitakosamaのレビュー・感想・評価

リングの王者 栄光の世界(1957年製作の映画)
3.3
新東宝YouTubeにて。なんと石井輝男の監督デビュー作だそうな。エログロなイメージの監督だが、こんな爽やかボクシング映画を作っていたとは…

若かりし宇津井健が主演。ヒロインが池内淳子。魚屋の青年(宇津井)は何故か猛烈に拳闘に向いていると進められる。その根拠はよくわからん。
世界チャンピオンになれば金持ちになれると言われ、家も貧乏だし妹の手術代を稼ぐためにボクシングを始める。初心者故に最初は上手くいかないが、それでも持ち前の才能があったのか順調に強くなって勝ち上がっていく。

そんな中、ジム側は女がいると強くなれないからと説得してヒロインを遠ざけてしまう。彼のためなら潔く暫く身を引いてくれと言われて泣く泣く別れる池内。
この時期は、こういう間違ったストイックがまかり通っていたのかなぁ。今もありそうな気もするが。

そしたらバーの経営者の女が色仕掛け攻撃をしてくる。堅物な好青年も遂に陥落。この辺の表現は流石上手い。良くない女にハマってチャンピオンとの試合に負けちゃう。

落ち込むが彼女とヨリを戻し再戦へ。死闘の末に勝利。これを70分強という短い尺で描いているのが凄い。

ボクシングシーンもけっこうちゃんと描いてる。ロッキーみたいな大振りパンチじゃ無い。宇津井健のパンチのフォームも決して綺麗ではないのだが、それがまたリアルに見える。良い意味で泥臭いのが戦後の混迷期のボクシングにマッチしてるんだよね。

しかし世界チャンピオンになれば〜という前振りだったのに、日本チャンプになる試合前に妹は手術に成功してるし、この辺はちょっと雑な感じもしたな。
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