OASIS

ミリオンダラー・アームのOASISのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・アーム(2014年製作の映画)
3.9
野球に関して未開の地インドに赴き将来のスターを発掘しようとしたスポーツ・エージェントJB・バーンスタインの実話を基にした映画。
監督は「ラースと、その彼女」のクレイグ・ギレスピー。

実話ベースという事しか知らなかったが、予想以上に良作だった。
主人公が「ミリオンダラー・アーム」を開催する為インドに赴き、そして帰ってくるまでは正直面白みを感じなかったが、現地で出会った青年二人がアシスタントと共に都会へやって来てからは抜群に良くなる。
二人共何処かで観た事があると思ったら、青年リンクは「ライフ・オブ・パイ」のスライ・シャルマで、青年ディネシュは「スラムドッグ$ミリオネア」のマドゥル・ミッタルだった。

小さな村→高層ビルが建ち並ぶ大都会というギャップに困惑する様子をハイテクマシーンに驚いたり、一日数回のお祈りといった文化の違いというベタな手法で描きつつも、故郷に想いを馳せる郷愁を滲ませる。
そして、それを多忙さからケアする事が出来ない主人公との擦れ違いにより心の距離が離れていって。
信頼する事を恐れ、また、故郷の土では無くコンクリートの上で自分の腕を試される事の重圧に負けてしまいそうになる。

そこで初めて気付く、お互いを信じ合うという事。
お調子者のアシスタントの成長や隣人の医学生のサポートも得て、チーム一丸となってインドの全国民の夢をのせて投げる1投にはただただ感動。
ラストの盛り上がりが素晴らしかった。

欲を言えばエージェントの周りだけにフォーカスするのではなく二人の青年の家族についてももっと掘り下げて欲しかったというのもある。
しかし、美味しい所を持って行き過ぎる安心安定のアラン・アーキンやA・R・ラフマーンによる音楽がこの上なく爽快感に溢れた余韻を残してくれる、見逃すには勿体無い作品だった。

それにしても、レイク・ベルのサリー姿は目の保養になった。
あれこそ100万ドルの価値があるんじゃないだろうか。

@TOHOシネマズ梅田
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