Kumonohate

ミリオンダラー・アームのKumonohateのレビュー・感想・評価

ミリオンダラー・アーム(2014年製作の映画)
3.5
崖っぷちのエージェントが、大リーグ未開の地インドから2人の若きダイヤの原石を発掘し、悪戦苦闘の末に見事大リーガーにしてしまう、という実話を元にしたお話。

「マネー・ボール」にせよ「人生の特等席」にせよ、近年のアメリカのベースボール映画には、プレーヤーを描くよりマネージメント・サイドを扱ったものが多いように思う。だが、本作の場合、これは日本的感覚にすぎないかもしれないが、インドから夢と不安を抱いて、右も左もわからない異国の地にやってきて、たいへんな苦労をして大リーガーになった2人のインド人青年たちを描いた方が、よっぽどドラマチックで感動的なのではなかろうか。何で彼らを主人公にしなかったのだろう。それだとアメリカではヒットしないのか? 選手の夢と苦労と努力と感動の物語は、ハリウッド的にはもう古臭いのか? それとも、根性主義の日本と違って、アメリカではそもそも選手側にはさほどドラマが無いのだろうか。

まあ、理由はともかく、やはりアメリカでは、プロ・スポーツはビッグ・ビジネスなんだなと改めて認識させられた。もちろん、日本とて同じことなんだが、なんとなくビジネスとしての側面は覆い隠されている。それに対し、アメリカでは、スポーツ=ビジネスという意識がより前面に出ており、その状態で広く一般的に浸透しているように思う。

というワケで、これはビジネス・ドラマなんであるが、それにしても、インド人少年たちのドラマをもう少し描いてもよさそうなものなのに、と不満が残った。そして何よりも、インド(あるいはアジア)に対する上から目線が大いに気になった。
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