老人XY

アイアムアヒーローの老人XYのレビュー・感想・評価

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)
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○良かった点
・みーちゃんが原作より可愛かった
・特殊メイクの本気さ
・「あの」大泉洋があんな血みどろ地獄絵図のど真中にいる状況、絵面になんか、おぉ…ってなった
・原作未見でなおかつグロテスクな描写に抵抗がないホラー好きなリア充が見ると一番楽しいかも。有村架純のアップがたくさん見れるよ!あと大泉洋も!

○悪かった点
・悪かった点っていうか、うーん…俺がアイアムアヒーローに求めていたものとは違ったと言いますか。すっごい個人的な歌詞とどろどろした曲調が好きで応援していたインディーズバンドが、メジャーになった途端に大衆受けする曲ばっか出し始めた時のような気持ちと言えば近いかなぁ。

漫画版アイアムアヒーローって、現実で負けてる奴、勝ててない人間の物語じゃないですか。大泉洋だとそんな感じしなくて。マンガの連載が決まらないとか、結果出てない描写はあったけど、でも大泉洋ですぜ?大泉洋がまん○数え唄(原作にあるんすよ)歌った所で…ねぇ。気持ち悪さが足りない。気持ち悪いけど人間臭くて嫌いになれないのが鈴木英雄ですよ。

彼女が絡んでくる一連のシーンも全然物足りない。原作1巻の積み重ね方は本当に上手かった。日本人の良い所と悪い所を凝縮して1.2倍増ししたような英雄の性格、間接的にだけど確かに伝わってくる世間がじわじわ侵食されていく様、仕事がうまくいかず自尊心が脅かされる時もあるけれどマンガにかける情熱を忘れず戦い続ける日々、それを支えてくれるなんだかんだ優しくて理解のある彼女。それぞれがうまく絡み合い、ひとつひとつ丁寧に描写され、そして爆散するラスト数ページの怖さと悲しさは凄まじい。惜しみながら少しずつ少しずつめくっていたので、最後の見開きを見た瞬間に単行本を持ちながら後ろに吹っ飛びました。
(俺が長々と書いた部分は他の方がレビューで『映画版は作家性がない』の一言で的確に言い表していました)

1巻から三谷さん(ドランクドラゴン塚地)の最期までを丸々1本の映画にするか、いやでもアレは資金が足りないよなぁ…。もしくは連続ドラマでじっくり。コロリ隊長の活躍も気になる!

決してつまらなくないし、それなりに楽しかったのですが、毒にも薬にもならない映画だなって。
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