カッチェ

アイアムアヒーローのカッチェのレビュー・感想・評価

アイアムアヒーロー(2015年製作の映画)
3.7
感想①「日本でもついにこんな迫力あるゾンビ映画が」
日本らしく周りが騒がしくてもチラっとそちらを見るぐらいで、すぐには取り乱さない人々。しかし徐々にこれはおかしいぞという雰囲気になり一気にパニック状態。悲鳴をあげ走って逃げるがZQN(ゾンビ化した人)に襲われ倒れ込む人、暴走した車に派手に吹っ飛ばされる人、広い道路で暴動したかのようにゴチャゴチャと多くのZQNが人々に襲い掛かるシーンはド迫力。まるで日本映画じゃないみたい。

感想②「原作を大まかにまとめ分かりやすくしている」
主人公の鈴木英雄にスポットを当てつつ、テンポの良さと迫力ある映像に拘ったのかなと思う作品でした。なので心情部分はちょっと弱かった。とくに彼女であるてっことの関係がちょっと残念だった部分です。映画の彼女はヒステリーなところだけが強調されていて、彼女がZQN化したあとの原作にある切なさが全く表現されてなかったです。同じく比呂美の設定も映画用にアレンジされており、やや消化不良。しかし1本の映画にまとめる為には仕方がありません。最後までテンポよく話が進むのは、やはり映画用に設定をいじったおかげだと思うのでこれで正解だったと思います。

感想③「海外版ゾンビよりも個性的なZQN」
海外版では肉を貪るゾンビ描写が主にグロの要因ですが、「アイアムアヒーロー 」はZQN自体がグロい。ゾンビは似たり寄ったりなビジュアルなんですけど、ZQNは一人一人見た目が違い、ゾンビというより化物に近かったり悪霊っぽかったりするタイプも。動きも個性があり遅いタイプから素早いタイプ、軟体動物のように奇怪な動きをするタイプやゴキさんみたいにカサカサ動くタイプまで幅広い。おまけにZQNは喋るんですよ。過去の思い出や記憶を持ち、サラリーマンだったらZQNになっても通勤電車に揺られている動作をしたり、店員は不気味な声を出しながら接客しようとしたり、買い物依存症の客はその欲求が抑えきれず店のドアをこじ開けて中に入ろうとしていたり、ZQNになっても個性的。そこが漫画同様、面白く描かれてて良かったです。

感想④「キャスティングは個人的には違和感なし」
英雄役は大泉洋さんで間違いない。完璧でした。比呂美は原作とやや設定が違ったんですけど、映画の比呂美は有村架純さんでバッチリだったと思います。映画後半からの有村架純さんが可愛い。藪役の長澤まさみさんはイケメン女子でしたね。男に混じってZQNを倒しまくるその姿は頼もしかった。個人的には清楚でヒロインやってる長澤まさみさんよりも、サバサバして強かな役柄をやってる彼女の方が好きです。あと伊浦役の吉沢悠さんが良かったですね。表情も言動も常に穏やかで変化がないのに、なぜか威圧感があり不気味で、こんな演技も出来るのかと新鮮でした。

感想⑤「これからのアジア映画に期待」
実写化映画が一気に増えて、日本映画を観る機会が個人的には少なくなってきてたのですが、「アイアムアヒーロー 」で日本でもこれだけの規模の映画が作れるんだと嬉しくなりました。エンドロールではスタッフの多くに、ハリウッドで活躍している韓国人スタッフの名前がありましたね。アジア映画がハリウッドでリメイクされる機会も多くなってきましたし、中国やインド等も含めてアジアパワーをハリウッドに見せつけられる時代も案外遠くないかもしれません。

感想⑥「テレ東が基準」
日本がどれだけの大災害や大事件に襲われようとも、テレ東がニュース(報道)番組に切り替わらなければ大丈夫という基準。映画の中にこのネタが入ってて思わずクスッとしてしまいました。ちなみに劇中では東テレという名前です。
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