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シェフ 三ツ星フードトラック始めましたのmikanmcsのレビュー・感想・評価

5.0
本当に大好きで、何度も見ている本作。一年ぶり位に見直しましたが、今回も最高でした。

要は「ひょんなことから名声を失ったシェフの再生の物語」なのですが、何度見ても気持ちがよく、とにかく始めから終わりまで幸せな気分になれる映画です。

数々の美しい料理の場面は当然ながら、全編に渡るユーモア、ヒスパニック文化へのリスペクト、シェフを慕っている部下(ジョン・レグイザモ)との交流、息子とのふれあい、フードトラックの道中の楽しさ、マイアミ&ニューオーリンズ&オースティンの楽しい風景、美しいスカヨハとソフィア・べルガラ、ロバート・ダウニー・Jrのおふざけ..etc 言い出すとキリがありません。

特筆したいのは、個人的にドはまりの音楽。ソウル、ファンク、レゲエ、サルサなどアメリカの各地に根付いたブラック&ラティーノ音楽が、場面に沿って響きます。
導入部でシェフが落ち込んでいるときにマリオネットの骸骨くんが踊るアル・グリーンの「Tired of Being Alone」なんて、マジで泣けてきますよ。

ボロボロのフードトラックを手に入れて旅に出る直前にジョン・レグイザモが合流するのは、まるで健さんの殴り込みに池部良が付き合うようでした。美しいなあ。

息子との道中の交流も笑えて泣けます。腐ったトレイの掃除や焦がしてしまったサンドからシェフの心構えを説き、ニューオーリンズのカフェデュモンドでは約束したベニエを食べ、最後にシェフ・ナイフを買ってあげる。この旅で主人公は真の「父親」になりました。私も息子がおりますので、こういう展開には弱いんですよ。(「リアル・スティール」とかも泣けますなあ)

公開時に町山さんのラジオで聞いたのですが、監督主演のジョン・ファブローは「アイアンマン」シリーズの監督で大成功したものの、ハリウッドの商業主義に嫌気がさし、「アイアンマン3」を断って、自分の作りたい映画を追求した結果できたのがこの作品、とのことでした。主人公の再生の物語は現実のジョン・ファブローの再生を反映しているのですね。監督が主人公に自分自身を投影しているから、感動的なのかもしれません。

しかしソフィア・べルガラが元妻でスカヨハが元愛人って、、ジョン・ファブローさん、そういう設定にしたかったんだろうなあ。わかるわかる。

とにかく、わざとらしいウケ狙いがなくて、でもハッピーになれる映画です。もし未見の方は、ぜひぜひ!
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