仕事も息子との関係も上手くいかない彼が周りから愛され見捨てられないのは、料理に対しての真摯な姿勢とピュアな愛情を持ち続けたから。不器用だけれど信念を持ち妥協を許さないプロフェッショナルな姿は、誇れるような生き方ではないこの男を不思議と魅力的にする。
楽しいフードトラックの道中には、成功の道を捨ててまでついてきた元部下のマーティンとのかけがえのない友情と、息子と料理を通して向き合い心が通いあっていく様が大いに感動をさせてくれる。だめな所があっても子供にとって父親は格好良く、憧れるもの。心を通わせられなかった自己を投影しちょっぴり羨ましさを感じた。
ともすればシリアスな内容にも、軽快な音楽、美味しそうな料理の数々、全編に渡るコメディ要素がトントンと進むサクセスストーリーを違和感なく受け入れさせる。父親と息子のロードムービーは楽しいだけではなく感動を与え、見終わると幸せな気分に包まれた。
唯一の不満は、劇中から猛烈な空腹感に苛まれることくらい。この映画を見る時は、最寄りのキューバ料理店を探しておきましょう！
