烏丸メヰ

ミュータント・タートルズの烏丸メヰのレビュー・感想・評価

ミュータント・タートルズ(2014年製作の映画)
4.2
お気に入り作品記録。
デザインをリアルに、ストーリーを重めに寄せたリブートタートルズ。
初公開時から「宇宙人みたい」と話題になったタートルズの姿は、ニコロデオン以降に見られる四匹のヴィジュアルの差別化がかなり強く、そこに思い思いに着飾るゴミや、刻まれた漢字、拾った文明品によるアクセサリーが更に個性を添える。

冒頭、語りかけるスプリンターの声とともに、暗闇の中で翻り打つ4種類の武器だけでタートルズの躍動・息吹・積み重なる鍛練を思わせる映像は個人的に全「タートルズ」映画で最も美しいシーン。
同時にこの導入が、今回の映画・タートルズが、初代アニメや旧映画三部作のようなアイドルヒーロー然としたコメディではなく、ダークヒーローのアウトローな存在感を纏ったものだと理解させてくれる。

個人的に原作の30年来のファンという愛着補正を抜きにしても、正直、本作と本作のミーガン・フォックスさんがラジー賞だなんだと世間的に酷評されネタにされている意味が分からない。
単体の映画としてまとまっており、デザインの好みはあれ刷新とオリジナルの踏襲といったリブートの意義もじゅうぶんに感じるし、現代的な反女性ナメと“ティーンの少年達から見て年上の姉貴分であり、世間とのパイプ役”といった旧来のエイプリル・オニールのキャラクターも申し分ない。
演技面に関しては第一言語が英語でない私には細部が分からないが、少なくともエイプリルをタートルズと同世代の子供に改変している近年のアニメーションよりは確実に良いし、ミュータントを多様性の餌食にしてまでダークヒーローポジションを否定するよりは確実に原作を大切にされているように思う。

本作では変にスケールを広げすぎず、大都会ニューヨークの「縁の下の力持ち」としてのタートルズを描ききったのが個人的にはかなり嬉しかった。
些細なことだけど、敵も“マスターの元で鍛練を重ね、技を磨いている”集団だというシーンがあったのが結構好き。
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