【プログラム・エクトプラズム】
伊藤高志作品、『SPACY』で刮目させられた後、次の衝撃は、私はコレでした。
こちらも手法自体が映画、という映画。用意された大量の静止画を順に並べる、映画の原理どおりなのは『SPACY』同様ですが、やっぱりデジタル物より、暴力的に響きますね。
舞台はおそらく作者の大学。夜の校舎内や校庭を、うろつくだけの映像群。
…なのにそこには、こんなに眩しく鬱陶しく、しかし豊かに、ゴーストが乱舞している!
屋外上映の如く、校内あちこちに投影されるアイコン風女性は、地縛霊か?が、校内自殺で取り憑いたような素振りはなく、学園祭に駆り出されたお友だち風に、映画の内へと誘う。
一方、彼女のことは眼中にないように、“人魂”が光で爆裂し、“百輝夜行”する。
素材はバルブ撮影で、光の軌跡を残した写真を移動しつつ、大量撮影したようですが、直感をより活かす計算が、仕上がりの裏から透けますね。カナリ手間ひま、かけたのでしょう。
“光源者”を黒子扱いせずまんま残すことで、ここにも亡者が…と思わせる仕掛けも、巧い。
全体、不穏さをどこかに醸していても、アミューズメントな感覚が表立ち、まさに“怖いもの見たさ”から、不思議な場所へと連れて行かれる。
最後におや、この校舎とは実在せず、もしや彼女の…?とも思わせて、映画は終わります。
<2023.2.28記>