すばるの歌唱力ありきの作品。
突然の「古い日記」。
皆んなの前での「赤いスィートピー」。
そして赤犬との「ココロオドレバ」。
身体がゾクゾクして、鳥肌が立った。
ただ上手いだけなら他にもいるが、これだけの高揚感を生み出す歌声は珍しい。
相変わらず、セリフをあまり使わずに、人物を描く山下監督の人物造形は、素晴らしい。特に二階堂ふみ演じるカスミだろう。
カスミの世界は、4本の指を折り曲げて、たった4つの事で足りる。
ここで、すばる演じる「ボチ男」で5つ目の指を折りかけるところは微笑ましかった。
狭い世界にボチ男が侵入して、カスミの世界が色付き始める。
最後にボチ男から元に戻る茂雄は、本当のクズで、「いっぺん、ドツかなわかりようらへんなぁ」という事で、本当にドツいて(しかも金属バットで‥)クズの世界からカスミの世界へ、引っ張り上げるのだ。
カスミに対する想いは、まるで仔犬がすがるような甘さを見せる、すばると、
ボチ男に対する想いは、最後まで甘く演じない二階堂ふみの演技は、素晴らしかった。