MayuShimada

百円の恋のMayuShimadaのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.2
かっこいいぞ一子!!一発入れてやれ!!!
って気づいたら言ってた。

こういう話に私は弱いんだなぁと改めて。 笑
駄目な奴がボコボコにされながら這い上がる話って良い。
「ボコボコにされる」ってのがポイントで、さすがにそこまで打ちのめされたらもう上がって来られないでしょってところから、孤独でも苦しくても絶対この壁を越えてやるぞって意気込みで這い上がってるところが良いのよ。
ベタだけど!ベタだけどこのベタはいいの!!

またこの映画さ、一子を都合良く扱う輩が登場するから一子と同じタイミングで怒りが沸いてくるのよね。負けっぱなしは嫌だ!っていう、腹の底で沸々と煮えてるような怒り。発散されるのを待ってるやつ。
でもその怒りの原因って、全てが外部からやってきたものではなくて一子自身にも責任の一端があるんですよね。
念のため言いますが、NOをはっきり言わないとかそういう話じゃありませんよ。

家族との衝突があったんなら、一子だって薄々はこのままじゃいけないって解ってたはずなんですよ。甥っ子とゲームして子守りした気になって、姉に痛いとこつつかれたら逆に相手の痛いとこつつき返して、家業もろくに手伝わず親に頼りきりの生活は、立て直さなきゃいけないのは明白ですから。
でもそれをしなかった。どうにかしようとしないでなんとなく流れに乗って目的もなく生きている。自分に対する怒りもあったはず。
しかもこっちの怒りは、自分が怒りを感じていることすら認めたくないような、痛みを伴う怒りなんですよね。

逆にいうと、「もうこんなのたくさんだ!」って思わせてくれた無気力ボクサーとの出会いは運命だったのかもしれないとすら思ってしまう。
あいつがいなかったら一子はあそこまで強くなれなかった。身体的にも精神的にも。
だいぶクソ野郎だったけど。笑

登場人物のほとんどが見事に人生うまくいってなくてね。
国民の大部分がそれなりに不自由なく暮らせている日本の舞台裏って感じがしました。
表面上はみんな幸せに見えるけどね。日々自分の中の何かを削ったり失ったりしながら必死に生き延びてる人はけっこう多いのではと思う。

一番イラついたのはベラベラ煩かったノマですよ。こんなに人をイラつかせるキャラクターをつくれるなんて素晴らしいですよ逆に!
あいつどっか行っちゃったのが惜しかったよなぁ。一子の左フックを最も食らって欲しかった奴だわ。
連れて来てくれノマを。左フックは出せないが、竹刀があれば面か胴か小手なら打てるぞ。(本当はダメですけどね。武道を習うとやったことのない人に技をかけるな的なことを恐らく一度は言われるはず。怪我させちゃうから。一子、店長めっちゃ殴ってたけど 笑)

劣勢でもファイトバックする姿勢があることが一子にとっては大きな成長ですよ。
悔しい!って素直に言えることも成長ですよ。

人は敗けを認めたときに前に進むチャンスを得るんだ。
いや~かっこよかった!!
MayuShimada

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