カニパン食べたい

百円の恋のカニパン食べたいのレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
4.8
前情報ゼロで観られて幸せ。宣伝のため仕方なしとはいえ予告編であのシーン流しちゃうのはもったいないね…。
前半はとにかく痛い。一度も勝ったことのない女の自信のなさとか卑屈さがリアルで悲しくなるほど痛い。その負け犬の男は、その底辺の女を安く見ている。百円の男が百円の女を見下すっていう関係性が痛い。
それなのに、


▼▼▼以下ネタバレ▼▼▼



あの胸熱な試合のあと狩野と一子の間にあったのは、同士としての共感かなと! 泣く一子をただ見つめる狩野の表情がいい。痛いよな悔しいよな、だけどそれだけじゃないのも判るよなっていう。負け犬が負け犬を見下すような最低の上下関係から、同士・共感という別次元のプライスレスな人間関係に転換した二人がすごくいい。狩野が、一子を名前で呼ぶんですよね。

この映画、最初に2日で3回観てさっきまた観てまた泣きました。
一子が人生の中で溜め込んでいた出口のなかった「怒り」が最も表出されたリンクの床をバーンと叩くシーン。試合のハイライト。いつもここで泣くし次もきっとここで泣く。そしてあれは浄化のシーンでもあると思うんです。怒り悔しさがバーンと吹き出し、そして浄化される
……みたいな事を熱心に語りあいたくて夫と一緒に観たのですが、語らせてもらえませんでした。やり場のない滾る気持ちを今ここに打ち込んで浄化させているという次第。