よりとも

百円の恋のよりとものレビュー・感想・評価

百円の恋(2014年製作の映画)
3.7
□見たきっかけ
・フィルマークスで高評価だったから

〇良かった点
・堕落しきった暗い女の役に安藤さくらがバッチリ合ってた。というよりそんな女になりきれるほど良い役者なのだと感じた。
・クズ店員ばっかりがいる百円ショップがいい味出ていた。店の商品も百円だけど、店員も百円程度の人間なのだと暗喩しているのかもしれない。
・前半は、ん?これどうなるんだろう?と思ったけど、ボクシングに大きく転換していく感じがワクワクしてよかった。

△気になった点
・オチをもう少し膨らましてもよかったのではないかと思う。元鞘の男がクソヤロウだからこれでいいのかな?と思った。
・いい意味で『百円の恋』ってタイトルってどういう意味なのだろうと考えた。まぁ、百円程度のペラペラの恋と捉えるのが普通だけど、ヒントとして試合前に一子が「私百円程度の女なので」というせりふがあった。だから、百円は一子を比喩していると捉えられる。でもさらに気になって調べたら、エンディングに流れるクリープハイプの「108円の恋」にさらにヒントがあるらしい。以下佐藤マタリさんのブログより抜粋。


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誰かを好きになる事にも
消費税がかかっていて
百円の恋に八円の愛
ってわかってるけど
≪クリープハイプ「百八円の恋 」歌詞より抜粋≫
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そのヒントもまた、歌詞の中にあった。「8円」は、恋が愛情に変わる時の重さなのだ。
恋は100円ショップの商品と同じく、いつでもどこでも割と簡単に手に入るし、始めるのには難しい理由はいらない。でも恋を愛に変えてまで相手と一緒にいようとするのは、体力を使う分、理由がないとやっていられない。
お互いを好きだと思う気持ちや、それに伴う「8円」分のゴタゴタも乗り越えていかなくちゃいけないのだ。
そして、恋は100円でキリがいい。でも、100円ショップの商品は100円では買えなくて、消費税分の8円が必要。その「気づかないもの」こそが、きっと愛の重さってやつなのだ。
一子は、映画のラストでひとつのケリをつける。そして、これから始まる平穏な日々へと向かっていく。彼女の「8円」分の成長は、あなた自身の目で確かめてみてほしい。

最後の最後にまさか歌に仕掛けをいれるとは!!と感心した。
これは一視聴者の意見だけど、深みがあるところが作品としての価値を高めていると思った。
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