ロアー

ベネディクト・カンバーバッチ ホーキングのロアーのレビュー・感想・評価

3.7
「(博士は)病気について話さない」と友人の台詞にもあるように、医者との短いやりとり以外博士が病気について語る台詞や弱音を吐くシーンは一切なく、その分、靴が脱げない・言葉が伝わらないなど、静かにできないことが増えていく描写やバスルームで1人病気と向き合っているシーンがより印象的に感じられました。
一方で理論について語る姿は喜びや情熱に満ちていて、黒板に数式を書きつけている時も口元に微笑みが浮かんでいたのが印象的でした。病気より理論の発見に至る過程に焦点を当てた今作の狙い通り、映画を観終わって思い出すのは病気で苦しむ姿ではなく、博士の微笑みだったりします。

そのニュアンスを目の輝きや絶妙な表情・仕草だけで伝えるベネの演技が本当に素晴らしかったです。台詞にも教訓となる名言がたくさんありました。博士の台詞だけでなく、周りを取り巻く教授たちの台詞にもたくさん。

20代でALSを発症し「もって2年」と言われていた中、 76歳まで生きて功績を遺したホーキング 博士は、宇宙の理論だけでなく人生においても教わるべき理論がたくさんある人だったと知ることのできる素晴らしい作品でした。

「博士と彼女のセオリー」は未見なので、今作の記憶が新しいうちにそちらも観てみたいと思っています。
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