もとまち

真昼の切り裂き魔のもとまちのレビュー・感想・評価

真昼の切り裂き魔(1984年製作の映画)
3.5
ジャーロ風味のサイコ・スリラーをロマンポルノで。女の死体とシャッター音のスタイリッシュなカットバックは、アルジェントの『シャドー』を思い出す。全体的に編集が歯切れ良い。卵の黄身を切断するナイフ、エレベーターの開閉、ブラウン管に写る瞳など、随所にインサートされる謎めいたカットの異様なカッコ良さ。頻繁に描かれる自慰行為とかセクハラなキャラクターの台詞とか、一見どうでも良い瞬間にも伏線を織り込んでくる所に作り手のマメな工夫が見える。カーブミラー越しの追走劇、サングラスの反射を活かしたカットなど映像的な遊び心も満載。濡れ場の退屈さや穴の多いプロットは相変わらずだが、滝田×夢野コンビでは『ザ・マニア』より面白かった。盗撮、カメラ、都市空間...という後の佐藤寿保作品へと繋がるようなモチーフを多用しているのが印象深い。
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