半兵衛

真昼の切り裂き魔の半兵衛のレビュー・感想・評価

真昼の切り裂き魔(1984年製作の映画)
4.0
夢野史郎による狂った殺人者の世界を滝田洋二郎監督がサイコサスペンスへと昇華させた名作。話は低予算ポルノゆえやや強引だけれど肝心の犯人を特定させること無く最後まで引っ張っていく語り口が巧みだし何より全ショット決まっていて飽きることがなかった。

互いの孤独を埋め合い慰めているラストのエロシーンが現代人の欠落した心を見事に表現している、そこからの歪んだ殺意が無限に分裂していくかのようなラストショットが怖い。

それにしてもこの頃喜劇的な『痴漢電車』シリーズで活躍していた滝田監督が『連続暴姦』といい本作といいシリアスなサスペンスものでも実力を発揮しているところに、後年一般映画で大活躍する実力の片鱗を感じさせる。
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