前監督作『ONCE ダブリンの街角で』のベタな切なさが、ちょうど離婚直後の僕の懐にスッと入り込む感じでなかなか良かったので、次回作どんなんやろなと期待してたのですが、そんな事すら忘れた頃に新作出してくるジョン・カーニー監督。
あんた9年も何しとったん。
いや良かったね。
何処となく『ONCE〜』にプロット通じるとこありますけどね。
寧ろ焼き直しじゃないかという気もしますが許します。
音楽プロデューサーという業種が何をするものなのか今でこそ知ってはいますが、これ観るとその職業が凄くわかりやすいですね。
大体、映画に出てくる音楽プロデューサーってのは、プロモーター的な側面だけを表現しているものが大半で、ディレクター的な側面があまり描かれないですからね。
でまぁ劇中バンドの配役となりますと、俳優に楽器をある程度練習させてから手元だけ代役使ったり、キアヌさんやラッセルさんなど元々バンドメンな人を使うか、暇なミュージシャン使うかかと思うところですが、全然暇そうじゃないMaroon 5のアダム・レヴィーン君を配する狂おしい程に卑怯な展開。
しかも若干情けない感じで、よく引き受けたねと。
そしてキーラ・ナイトレイちゃんとマーク・ラファロさんの二人の雰囲気が全体的に抜群と言うか、お互いにパートナーがいて、それでも意識しちゃう感じ。
こういうのを『あと1センチの恋』って言うんじゃないか!そうだろ?
更にラファロさんの、娘がギターを持って演奏に入ろうとするシーンの前後の表情なんかもう最高ですよ。
でも1番のお気に入りは、収録の邪魔になってた子供達を、賄賂で退かすばかりでなく、コーラスに参加させ、そんな事にも満更でもなさそうな彼らの表情。
またこういう作品を撮ってもらいたいものです。
9年も空けずに。