T太郎

はじまりのうたのT太郎のレビュー・感想・評価

はじまりのうた(2013年製作の映画)
4.0
789
以前観て良かったので、再観賞。

音楽映画だ。
私は森羅万象全ての物事に精通した驚くべき人物であるが、唯一音楽だけはアホほど無知なのである。

したがって、作品内で流れる音楽の良し悪しは正直分からないのだ。
そこは誠に申し訳ない。

そんな私がこの作品を論評するなど、おこがましいにも程があるのである。
それを踏まえた上で、以下の私の感想を見ていただきたい。

まず思ったのは、音楽っていいなという事だ。
私のような音楽偏差値12くらいの男ですらそう思えたのだ。
それが、この作品の力だと言えよう。

登場人物はほぼ全員音楽関係者だ。
基本的に悪い人間は出てこない。
気持ちのいい作品である。

ただ、プロ音楽業界への皮肉は少なからず感じる。

物語はマーク・ラファロ演じる酔いどれ音楽プロデューサーが、キーラ・ナイトレイ演じるギター漫談家・・・全然違う・・・女性シンガーを発見した場面から始まる。

ここは非常に印象深い場面である。
ギター一本で持ち歌を歌いあげるキーラ。
客の大半はろくに聴いていない。

しかし、ただ一人マークは彼女の才能に気づいたのだ。
彼の頭の中では、ドラムやピアノが加わりバイオリンなどの弦楽器が入った完全版が流れていたのである。

なるほど~
そういう評価の仕方もあるのか。

彼はキーラを売り出すために、奇抜な作戦を敢行する。
街中でのゲリラ収録によるアルバム制作だ。

なぜ、そんな挙に出たかと言うと、レコーディングするお金がなかったからだ。
だが、それがまたいい。

このゲリラ場面にも様々なドラマが描かれていて実にいいのだ。
悪ガキたちのコーラスなどは白眉の出来と言えるものであろう。

恋愛要素も絡んではくるのだが、個人的にそこはあまり印象に残らなかった。
一瞬、マークとキーラがいい雰囲気になるのだが、何事もなく物語は進んでいった。

やはり主題は音楽なのだ。
良い音楽は人生を豊かにするのだ。

私は浜田省吾の「オン・ザ・ロード」を聴いて涙した事がある。
私の青春時代を彩ってくれたアルバムのうちの一枚なのだ。
決して悪いタイトルではない。

しかし、この作品では・・・

「オン・ザ・ロード」の何が悪い!
ハマショーに謝りやがれ、コンニャロめ!
かかってこんか~い!

・・失礼、少々取り乱してしまったようだ。

そう、この映画の主題はあくまで音楽なのだ。
私クラスの音楽通からすれば、この作品で制作者が伝えたかった事など、一目瞭然だ。

音楽は愛であり、哀であり、怒りであり、喜びであり、苦しみなのである。

さすが私だ。
実に造詣の深い考察だ。
音楽の本質を知り尽くした私にしか言えない至言と言えるだろう。

       完

すまん
ふざけ過ぎた・・・・・
T太郎

T太郎