ムーミンの相棒

はじまりのうたのムーミンの相棒のネタバレレビュー・内容・結末

はじまりのうた(2013年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

恋人に裏切られた時、きっと許せない気持ちになるだろう。そして後悔して自分を責め続けろとさえ思ってしまうだろう。けれども何より自分を苦しめるのは、裏切られても尚まだ相手を好きだということだ。

この作品ではこのような恋人に裏切られた時の複雑な感情を、シンプルに表現してるように感じる。

主人公の二人は裏切られた苦しみを知ってるからこそ前に進めない。裏切られたなら他の人にすがればいい。しかしそれが出来ないのだ。何故ならそれは相手を好きだということ、そして痛みを知っているからこそ同じように自分が人を傷つけることが出来ないからである。
音楽を通して心の傷を埋めようとして次第に男と女は惹かれ合うが、二人がふっつかないのはそのためだろう。
痛みを知った心の優しさが、自分自身を苦しめるのだ。
心の機微をわざとらしくなく表現してると思い、感動した。


そして、女が元彼のもとに戻らなかった理由について。
もちろん、あんなことをした男の元に戻るなんて普通おかしい。
けれども、普通が通じないのが人間の心だと思うから元に戻ることはあり得ることではある。
しかし戻らなかったのは、色んな理由が考えられるけれど
戻ったら自分があまりにも惨めだということがわかっていたからなのかと思う。音楽を通して前を向いてかっこいい自分を取り戻したのに、自分を裏切った男の元に戻ったら結局惨めな自分に逆戻りだ。別の男に惹かれてたということもあると思うけど、その人とは一緒になれないからと元彼の元に行かなくて本当に良かった。
もし、あそこで女がステージに上がったならTSUTAYAにあるマルーン5のCDを全て破壊していたところだっただろう。

この映画の魅力は何より音楽なのにどうしてこんなに恋愛描写に惹かれたからというと、
それは少しは同じような気持ちを味わったことがあるということだが、、やっぱり経験と重なることがあると映画は強烈に訴える力を持つと再確認出来た。
どんなに辛いことでも何事も経験するのは映画を楽しむ上ではいいことなのだと考えたら、少しは心が癒える気はする。