ちょび

岸辺の旅のちょびのレビュー・感想・評価

岸辺の旅(2015年製作の映画)
3.9
光も影も風も揺れるカーテンも壁一面の花も
日本語も深津絵里も・・・怖いほどに美しかった。
そこにいるのにいないような宙に浮いた佇まいで
正にそちらとこちらの狭間を漂ってるようだった。

決していい夫ではないのに憎めなくて
飄々と愛情で包み込む魅力的な優介(浅野忠信)。
悲しくも死によってしがらみから開放される事で
本来の自分に立ち戻り素直に寄り添い合える夫婦。
妻と愛人の静かな対話の凄みと緊張感。情念。

「終わりではなく始まりなんだよ。」
美しくて残酷であまりにも優しい喪失からの再生。
これぞ映画。映画館の質感と音響で鑑賞してほしい。
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