星一

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)の星一のレビュー・感想・評価

3.4
 かつてバードマンというヒーロー映画の主演を務めたことで、人気を博したが今は落ち目の俳優、主人公リーガン。役者としめ再起を図るために、俳優を志すきっかけになったレイモンド、カーヴァーの小説を作演出、主演で、舞台化する。

 しかし、当初に雇った俳優は、あまりよくなく照明の落下事故(リーガンの力?)で、降板してしまう。急遽、出演が決まった活躍中の俳優、マイクも才能はあるが、身勝手な行動で二回もプレビュー公演を台無しにする。他にもインタビュアーは舞台よりもネットの注目を集める噂についてや、くだらない話題ばかりで、公演自体については何も聞かない。思いつきばかりを載せたインタビューに、世間は話題のヒーロー映画やyoutubeに注目している。挙げ句の果てには、有名な評論家に見てもいないのに、酷評すると宣言される始末。

 何もかもをズタズタにされ、幻覚のような存在のバードマンには、ヒーロー映画に戻れと詰められる。

 その中で、リーガンは本番を迎えることになる。

 常に動き続ける映像に、シンプルだけどかっこいいジャズの音楽。スピード感がいいしワクワクされる展開には、楽しむことができた。伝えたい事や、独特な映像は、多少、人を選びそうですが、楽しみやすい映像な気はしました。

 それにこの映画は、世間の話題性、注目度を問題視しているように見えます。話題性のある映画、youtube、お手軽に楽しめるものに手を出して、世に幾つもある、それぞれが自分の芸術性を信じて、創り上げてきたものに目もくれない。

 2023年の現在に至るまで、たくさんの芸術作品や娯楽がある中で、正直なところ仕方ない部分もあるかもしれない。その中で話題性があって、自身の芸術性を見てもらえなかった主人公、リーガンの喜悲劇の作品だと思います。また、クリエイター側の怒りみたいなものが込められた映画に見えました。

 たとえ、映像作品でなくとも何かを作るものには共感できる、怒りやもがく様があると思います。

 
星一

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